勿論、他に好きな画家はいるが、構えることなく安らかな気持ちで鑑賞できるのは、やはり印象派。
印象派が日本人に親しまれやすいわけ、背景を少しばかり確認してみます。
日本絵画の影響又は日本受けする特徴
*浮世絵の影響
・浮世絵には影がない。
・明快な構図と鮮やかな色彩。
・平面性が特徴であり遠近法にとらわれない。
*文人画の影響
・専門性にこだわらない。
・過程や特徴、味わいを楽しむ。
・大胆な筆跡と塗り残し、余白も構図のうち。
*折衷主義
・例えばマネは新たな色彩感覚と配色、題材を用いているが、必ず古典を構図などの下敷きにしている。
・日本に印象派を広める重要な役割を結果的に果たしたラファエル・コランもそのような折衷主義であり、カヴァネルの「ビーナスの誕生」と「マネの草上の昼食」を合わせたような絵が彼の代表作である。彼らはサロンへのこだわりが大きい。新しさを模索しながらも権威主義的であった。外交派とも呼ばれる。(なお、コランは本国では忘れられた画家である)
いわば、いろいろな要素を取り込み易く消化しやすい。日本人好み。
ラファエル・コラン フロレアル
日本において~受け入れの素地
・印象派が出た後に西洋絵画が入って来たので、日本にとっての西洋絵画は「印象派」である。
・当然、フランス本国におけるような葛藤の歴史など存在しない、極めて自然な受け容れであった。
・特に、国立西洋美術館の松方コレクションの影響が大きい。
・黒田清輝の師匠がラファエル・コランであったこと。
・浮世絵・文人画の素地、下地がすでにあったこと。
まとめにはなっていませんが、こういうところもあるかと、少しでも参考になれば。
補足画像:
カヴァネル ヴィーナスの誕生
マネ 草上の昼食
(コランの絵は、そのままファッション・グラビア的な写真に置き換えられ、現代風とも言えるが、芸術性を考えるとどうか?裸婦もとても細くスマートなものが多く、アングルのようなデフォルメも見られない。カヴァネルやマネの芸術と比べると何かそっけない)
コラン風写真 こちらのほうが芸術的か?
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