今日はつい最近それと知った絵描き「石原 豪人」1923~1998
1960年代の世紀末ブームに乗った画家(イラストレーター?)
ちょっと横尾忠則にも似た感じがあるが、もっと古典的な意味で写実的である。
細密なイラスト画で横尾忠則風のドラマティックなタッチと色彩が見られ、構図・色彩ともに劇画調であるのが特徴と言える。
それもそのはずで、挿絵画家で出発時は「美人画」を主に描いており、のっぺりしたピアの表紙の古典版というものであった。
しかし、少年誌に活動の場を移してから、本領を発揮というところか、怪奇現象や幽霊・怪獣や未来・死後の世界を生々しくまるで実際に見てきたかのように劇的なタッチで描き、少年たちの絶賛を呼び一躍時の人となるのである。
少年雑誌「大図解」のグラビアページには活き活きと「その世界」が所狭しと爆発するような構図で描かれている。
画家は何よりもリアルさで少年たちの心を鷲掴みにしたと言えよう。この絵がもう少し簡略な説明的なだけの迫力無い絵であったら、人気は集まらなかったことは容易に想像できる。
リアルで劇的な表情と構図により少年たちの「感情」を揺すぶったことがポイントであった。
わたしはこの石原 豪人というひとの絵は無意識には見てきたはずだが、この絵描きの名前はつい最近知った。
知らぬ間に影響を受けているということが実は一番怖い。
もっともわたしは少年時代、ドラマという物語性のあるものより、スポーツカー、戦車、ジェット戦闘機、潜水艦、宇宙船、地底探索車などの乗り物の絵が大好きで、自分でも暇なときはいつも描いていたので、人の入った絵はさほど見る機会はなかったように思える。それらの私の好む絵はプラモデルの箱に多かった。その手の雑誌で写真にあるものを参考に、自分流に細密なモデルに描き変えていたことは今でも思い出す。
人が入っているといやでも物語性が発生するが、乗り物はまずは静謐なオブジェだ。もちろんそれらは人が操り、大暴れするものであるが、私のこだわりはあくまでも止まったフォルムであった。人の乗っていない、というか乗れない量ー物体そのものであった。
でも、わたしがUFOの情報が少しでも入ると、すぐに琴線に何かウズウズ来てしまうのは、やはり知らず知らずのうちにーーー多分科学と学習のような少年向け冊子の表紙にも彼の絵はなかっただろうか?ーーー影響は受けていたのでは、と思えるフシはある。
本当にとてもキッチュで一度見たら身体に染み込んでしまうような強度を持った絵なので。
彼の知人は皆、普段から妄想力が凄く、ありもしないことを本気で信じているようだ、と語っていた(恐れていた)そうだ。
晩年になると、エロスとユーモアがテーマとなり、「人間豚現る」というようなおおらかで明るい異界のものを描き、また注目を浴びたという。
なんでも、映画の看板、サブカルチャー雑誌や学習雑誌、少年・少女・芸能雑誌、お菓子のパッケージなどで数多くのイラストを手がけていたそうである。構図もかなりモダンである。多作だが勉強もかなりしている人であることは分かる。こうなると見ていない方がおかしい。家具が知らずのうちに人の内面に影響を与え文化を変えていくが、そのレベルで生活に浸透していた人のようである?
やはり怖い存在であった。
知らなかった。
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