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2013年9月13日金曜日

相模原芸術家協会展より

48人の48以上の作品が展示されておりました。
時間的にじっくり観ることが出来ず、目に飛び込んだ作品のみ簡単にご紹介?します。
かなり言いたいことを書いております。どうかお気になさらないでください。



1.遠藤彰子
「春に舞う」P50:比較的小さい絵ですね。大きな丸―赤い夕日を包むような構図で、桜の木が左右からのび広がり、枝の上には左右2人ずつ大人とも子供ともとれるノスタルジックな人物が乗っており、左には猫も寄り添っており、皆一緒に大きな赤い夕陽を恍惚として見入っています。
木の下はとても広い場所で、一面にやはり花が咲き誇っています。その中を人々が散在してみな夕日に見とれています。自転車の人物もお約束で混じっています。下の部分を引き締めるように桜の花が輪郭に沿って小さく描かれてゆきます。この大小の差が空間の遠近法をかなり加速させています。ですから小さな空間でかなり広い世界が現出しています。桜の花は日本画の伝統的な描き方に通じるような表現です。何をおいても人物の量感と風合いが良いですね。とても魅力的です。


2.鈴木英子
「美わしき日」F100:そこそこの大きさですね。見やすいです。F100は。もう一目で、ポテロ+ルソーという感じの絵です。こういうスタイルで押している作家さんなのでしょうか。自身の様式をひたすら追求しているという作品です。少女とジャングルだったか。大きなポテロ少女がブランコを中央でしていて、その周りを植物が囲んでいたと思います。きちっと計算された構図で、無駄は見られません。色彩はかなり抑制されており(トーンが抑えられており)、ルソーの様な原色などの色は使われていません。そこはかなりモダンな落ち着いた感じを受けます。かなり洗練されたグラフィカルな印象を受ける絵です。


3.藤田弥子
「アツイヒ」S80:見やすいサイズです。コラージュ表現ですね。浴室で浴槽に男性が目を閉じて入浴しています。いかにも暑そうな透明人間というか入道の様な内面を表すような像が暖色の輪郭線で重なるように表現されており、猛暑の中熱い風呂でスッキリしようと今ひたすら頑張って暖まっている様子です。
バスタブの外はプールがダブルイメージされており、そこに男性スイマーが泳いでいます。水の感じからかなり冷たそうです。入浴中の男性が浴槽から出た後のアーっすっきり、という予感(近未来)を表現しているととれます。
アツイヒです。


4.戸田みどり
「Living Waters XI 生ける水」変形:80号くらいのスペースはありました。日本画です。白い活き活きした水が白―光で表現されていました。配色の妙で生ける水を浮かび上がらせていたように記憶してます。日本画の平面性を色面構成的に塗り分け生命感―動勢を出すにはこの白い光(マットな)の感じが有効だと思いました。


5.四谷明子
「PLATEAU」変形:100号くらいか。これはまさに変形中の変形です。通常、長方形または正方形のキャンバスの中で構図を工夫して対象を描きこむと思われますが、この作品は2001年宇宙の旅のモノリスの様な直方体が果てしなく続く荒涼とした死の地平に二つ刺さるように建っており、その一つの(こちら側の)直方体がキャンバスの上にはみ出ているのです。文字通り。キャンバス作りが大変でしたでしょうね。枠組みもそうですが布張りはもっと大変だったはずです。ここまでして枠を出っ張らせる必要があったのか?
よほど作者は直方体を強調させたかったのだと思います。絵画空間(疑似空間)からわれわれの3次元空間に浸蝕しようとするモノ。死を象徴するデコボコの暗黒の地平の底から生えてきた角柱が新しい次元に延長する動きでしょうか。力でしょうか?


6.原聡美
「呼ぶ声」M80:典型的なセーラー服を着た女子高生がひとり画面全体を使って右を下にして横たわっており、目は閉じられて手と素足は詩的なポーズをとっていたと思います。今一つポーズや表情がぎこちない感じがしました。特に腕の描写など。後数回、少女の全身ポーズを描いてから制作に臨んでも良かったように思われます。
少女の上には翼竜の骨が浮かんでおり、地面には真っ白い花弁が沢山落ちており、後ろには真っ赤な花が毒々しく描かれ、死と性(思春期か)を象徴的に表現している寓意画という感じです。
何か高校の美術部を思い起こす作品でした。文化祭に出そうな。


7.廣戸節子
「部活はバスケ」F100:実はぼーっと展示スペースに入って、最初に目に飛び込んできたのはこの絵です。一瞬、展示会場を間違えたかと思ったのですが、他の絵を見てやっぱりここだ、と確認できました。これこそ高校の美術部の作品展示コーナーで見る絵です。きっとうんと若い人なのでしょう。ごく普通の女子バスケットボール部の生徒が部室のベンチに腰掛けている姿が描かれています。作品というより習作という雰囲気のものでした。作品にする前のエスキースの様な。かなり描き込まれてはいるのですが、無駄な線や色が残っており、全体に描き込みの統一感がなく、これを見ながら再度構図と形と色彩関係を整理して描くと、まとまった作品になったのでは、と思いました。写実画です。


8.手塚廣子
「時 2013」F130:これはビアズレ―まで自由なデフォルメはしていませんが、その世界を想わせるかなり毒を吐く挿絵的なモノトーンのイラストのような油絵です。かなり大きな挿絵という感じの。
黒絵の具を細いペンを使って、すべて一気に描いたかのようなグラフィカルな絵です。題材は小さな眼鏡をかけたというか降ろしてかけた、何を考えているか分からない非常に怖い感じの婦人で、デザイン的要素が強く様々な模様パタンと大きさの異なる同じ夫人がコラージュされて描き込まれており、充分にまとめられた作品となっております。このパタンで数多くの作品を描いてきた感があります。技術的には、こなれていますが、あまり馴染めないものがあります。そこが狙いか?

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