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2013年8月11日日曜日

コウマスの3タイトル ロック界の名作紹介①

Comus アシッドフォークの最高傑作!3作

イギリスプログレッシヴ・ロック(アバンギャルド・アシッド・フォーク)グループと、取り敢えず申しておきます。1971年、ドーンレーベルからファーストアルバム”First Utterance”を発表。グループの名前は、ミルトンの仮面劇「コウマス」、ギリシャ神話の「欲望と快楽の神」から来ています。その名からもそして特異なメッセージを突きつけるアルバムアートワークからも何か非常に先鋭的なコンセプトをもつ芸術的(文学的)な集団であることを匂わせます。(後に出すサードアルバムも病的というか猟奇的な雰囲気を漂わせる同様な描画がジャケットに使われています。)

実際に聴くと、予感を遥かに上回る、狂気と美を極めて高いレベルで融合したサウンドにすっかり虜にさせるものです。それはいまでも全く色あせない、波長が合えばはっきりクセになるタイプの音です。呪術的で原始的な祝祭を想わせる幽玄かつカオス的(サードイヤーバンドを想わせる)サウンドとアコースティカルな美しくも狂気を孕む緊張感をもった旋律こそ彼らの真骨頂です。楽器はバイオリンやビオラ、フルートやオーボエとパーカッションが畳みかけるアコースティカルなサウンドを特徴とします。女性ボーカル(ボビー・ワトソン(perc.))は、アニー・ハズラムのクリアーさとダグマー・クラウゼの毒を両方併せ持つ表情があります。リーダーでギター、作曲のロジャー・ウットンの張り詰めたアグレッシブなボーカルがこれに絡みます。そう、今聞くとロジャーのコンポーザーとしての資質はかなりピーター・ハミルに近いものがあります。他にアンディ・ヘラバイ(bass)もボーカルをとり厚みを増します。演奏面でも楽曲を十分に表現する確かな技術がうかがえます。

2ndは1974年、"To Keep from Crying" をVirginレーベルから発表しました。上記オリジナルの3人のメンバーに、キース・ヘール(k)、ゴードン・コクスン(dr)を加えて再編。ヴァージンに移籍してヘンリー・カウのリンゼイ・クーパー(bassoon)、ゴングのディディエ・マルエブ(sax)、エスペラントのティム・クレーマー(cello)の強者が加わります。前作より楽曲が洗練されロック色が強くなっています。完成度は確実に上がってます。ポップになり聴きやすくなったと言えましょう。間違いなく傑作です。ジャケットも前作とは趣の異なる、おどろおどろしさがないアーティスティックなものになっています。

1stアルバムは評論家からかなり酷評を浴びたそうです。2ndも入れ替わったメンバーのため注目度は増しましたが、やはり高い実力とクオリティが正当に評価されたわけではなかったようです。これまでに類似したサウンドがない異端性またはあまりに多様な音楽要素が絡みすぎ、異形なアートワークの雰囲気も含め、生理的に受け容れ難いものがあったのでしょうか?

来日公演も果たしております。見には行けませんでしたが。

そして3rdアルバムが、2012年38年ぶりに発表されました。Out Of The Coma”
その間も私はときどき思い出して、1stは聴いていましたが、まさかスタジオ録音盤がいま頃出るとは思いませんでした。コプティック・キャットからの発売です。現在、輸入盤で入ってきています。計4曲。内、新曲3曲・72年ライブ音源1曲の構成です。スタジオ音源がロジャー・ウットン、グレン・ゴーリング、ボビー・ワトソン、アンディ・ヘラビィ、コリン・ピアソン、ジョン・シーグラットの6人編成、ライヴ音源がウットン、ゴーリング、ワトソン、ヘラビィ、ピアソン、リンゼイ・クーパーの6人編成です。アルバムのアートワークも1st的なものに戻っていますが、曲想も1stに近い文字どうりCOMUSの世界復活です!バイオリン、フルートの音も、ワトソンのボーカルも相変わらず健在で、コアなファンには間違いなく涙ものです。再編成されたとなると、新作が今後も期待できるということです。

いまとなると、コウマスはヘンリーカウと同レベルの強度をもつ独創性溢れる、歴史に残るグループであることを痛感します。

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