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2013年11月17日日曜日

女子美美術館収蔵作品展にて

この作品展は11/15に終了となりました。

最終日の夕方観た「女子美美術館所蔵展」

5歳双子の子供連れで行きましたもので、集中して観ることは不可能でしたが、それなりの発見がありましたので、簡単にお伝えします。


1.女子美美術館に関して
  1)門からエントランス、扉などセンスが良く思わず入ってしまう所です。
  2)学生展の場合、無料であることが多いです。今回のような収蔵展でも300円程度です。
  3)会場は絵の見やすい形の広い空間で、照明もよく落ち着いた環境です。
  4)車で行かれるのなら、相模原公園(麻溝公園)の駐車場に停められます。
  5)学生さんの受付の対応も良いです。


2.作品構成に関して
大正から平成までの収蔵作品を「春夏秋冬」に分けて展示していました。
女子美卒業者ばかりではなく、広く集められた作品群です。
油彩と日本画です。サイズも縦250をこすものがかなりありました。
何故か版画のカレンダーが空いた壁面すべてを覆っていましたが、意味・意図は分かりませんでした。


3.鑑賞できた範囲での感想
①三岸節子氏が女子美の卒業生であることを知りました。ここでは、1970年作の「夜」(油絵)です。
夜と言っても、紺や黒ではなくバーントシェナかもう少し赤い色で重く塗り固められた「夜」です。窓枠は光っている物もあり、黒く縁どられた三日月が夜空に貼り付いています。
特別な夜であることは窺い知ることができますが、重苦しい不安な夜です。
層をなす塗り重ねがそのまま重厚さを生んでいます。
三岸氏の絵です。

②三谷十糸氏の「秋の流れ」(紙本着色)1963年作は、うちの双子のイチ押し作品です。
中央よりやや画面右に女性が前を向いて立っております。
瞳は茶に塗り込められており、モジリアーニと一緒で、とても抽象的な存在感を高めます。
髪が模様になっており、背景と同質の描き方です。秋の気配の流れでしょうか、水色を主調とした単純化された平面的な色とフォルムがそれを静謐に表しています。
一見静かで優しい絵に見えて、太く強い輪郭線とも相まってステンドグラスの宗教的な趣やムンクの持つ神秘性を湛えた内省的な作品です。

③柿内青葉氏の作品「十六の春」1925年作と「月見草咲く春」1926年作(両方共、絹本着色)は、それは美しい典型的な日本画です。題名からしてクラクラきます。
「大正浪漫」「大正デモクラシー」と言いますが、大正期の風に触れる感があり、大変新鮮で驚愕しました。
その新鮮な感覚は、時代を超脱した形体にあります。極めて典型的な和服を着たご婦人の座る姿に見えて、その女性の顔はとても現代的な描写で、着物の柄はかなり大胆なアール・デコ調で全く古き良き時代ではないのです。
かえって竹久夢二や中原淳一の描くドレスを着た、パリのキキを思わせる「モダン・ガール」の方が、はっきり時代性を帯びています。
「ハイカラ」な格好をしているわけでは全くないのに、この現代性はなんなのだと、思いますと、ダビンチの「モナリザ」が古いの新しいのなどと言われずに永遠に神秘性を湛えているのと同様にこの絵も時間性を超越しているのかも知れません。
すごい絵を見ました。特に女性の顔です。今の女性の顔そのものです。凛とした端正で知的な美しさです。

④「日本刺繍」について。
この分野が昔からありその技法の流れが現在まで脈々と流れていることを、田沢澄江氏の作品で知ることができました。相模原の女性画家展から7人ほどまとめ
以前ここで書きました記事にも山田美佳氏の作品を紹介しましたが、かなり熟した分野であることが分かりました。豪華絢爛な作品が生み出されています。




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