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2013年11月8日金曜日

Procol Harum プロコルハルム 2/10

プロコルハルムとは
プロコルハルムは物凄いコアなファンはいますが、薄いファンはあまりいないように思います。
ですから、ご紹介などしても、知っているヒトは必要ないし、知らないヒトは興味ない、と言うことにもなりそうな気がします。
ただ、私自身が大ファンで、「グランドホテル」はROCK史のみならず音楽史にも燦然と輝く大傑作であると確信しており、自分自身のためにも一度まとめておこうと思います。


1. A Whiter Shade of Pale       1967
まず、最初からロック、R&B、クラシックの要素が自然に融合した音楽であることがよく分かります。取って付けたような不自然なところはまるでありません。どれもゲーリー・ブルッカーの血が書かせた曲なのでしょう。
これは、彼等の基本スタイルとして、メンバーやプロデューサーが変わっても不変のものとして貫かれていきます。
どの曲もイギリス的で翳りがあり、ピアノ・オルガン・ギターの基本構成で格調の高い曲想を湛えたものです。
ゲーリー・ブルッカーとキース・リードのソングライターチームはプロコルハルムの中核として全く駄作のない優れた曲をこのまま10年間以上安定して作り続けていきます。
また、もちろん忘れてはならないことに、個性の光る非凡なソングライターであり、ハモンド・オルガンとブルース・ギターの類稀なプレイヤーであるマシュー・フィシャーとロビン・トロワーという存在、さらにバリー・J・ウィルソンという天才ドラマーが在籍していることです。
プロコルハルムとは、当初から完成された恐るべきスーパーグループ(適当な表現とは言えませんが)だったと言えます。
ただ、ここでは表題(当初は入っていなかった)曲とハンブルグくらいしか注目はされなかったようです。征服者も時折かかっていましたが。
「青い影」についてはことわるまでもありませんが、バッハとロックの相性は抜群です。トレースのリック・バンダー・リンデンを挙げるまでもなく。しかし、このような途轍もないヒット曲を放つことはアーティストにとって必ずしもよい影響を及ぼすばかりではありません。(マーケッティングの上では)


2. Shine on Brightly    1968

これはある意味、「青い影のプロコルハルム」を払拭すべく出された彼等の渾身の意欲作と言えましょう。アーティストたちは、一度大ヒットを出してしまうと来る日も来る日も引っ張りだこで同じ曲を演奏させられます。中にはそれが耐え難く心身ともに不調をきたしてしまう人もいます。その曲のイメージが邪魔となって生涯苦しむ場合もあります。
このアルバムは前作のような短期間で作った、単に小品を寄せ集めて収録したものではなく、完全なコンセプトアルバムであり、長い組曲も含め全体として充分に練られ制作されたものであることが一聴すれば納得出来ます。彼等がアルバムで聴かせるアーティストであることを誇示していることがよく分かります。
この時期には、ムーディ・ブルースが革新的なコンセプトアルバムを出していましたが、ムーディ・ブルースの方はかなりポップな雰囲気に包まれている(ウォルト・ディズニー的な)のに対し、プロコルハルムは大変荘厳なクラシカルな佇まいをもってインストロメンタルを中心に曲を構築しています。ゲーリー・ブルッカーとキース・リードのソングライターチームの実力がいかほどのものか、リスナーに印象づけるに充分なものでしょう。
ここでは、メンバー全員がしっかり自分の出番での演奏を遺憾なく披露しています。ロビン・トロワーも充分に個性を出し、バリーのテクニックはこのグループの名曲を支える上で、なくてはならないものであることがはっきり分かります。さらにマシュー・フィシャーは、ハモンド・オルガンでとても際立つ演奏を聴かせているだけでなく、ソングライティングでも組曲の重要なパートを作っており、頭角をかなり見せています。彼のボーカルもただ者ではありません。ソウルフルなゲーリー・ブルッカーのボーカル'(彼等がR&Bの要素を兎や角言われるのはこのボーカルに寄るところが大きいです)に対し哀愁を湛えた張りのある文学青年的ボーカルはブルッカーとはかなり異質な響きで耳に残ります。
しかし、強烈な個性たちもここでは一つの組曲の構築のためにぎりぎりのところでまとまり、混声合唱などの導入等、後の世紀の大傑作「グランド・ホテル」にも繋がるような感動的な構築美を実現しています。演奏に一切加わらない詩人キースの詩も独特なシュールレアリスティカルな世界を作り、アルバムに深まりと拡がりを与えています。彼等は詩も非常に大切にしています。
この詩を専門に書く詩人をグループに持つスタイルはベティ・サッチャーを置くルネサンスやこの後、Rockミュージックを根本的に変えるべく出現する、やはりピート・シンフィールドを詩人として擁するキング・クリムゾンの先駆けと言えます。
ROCKの名作は詩の出来が前提であることは、つい先頃急逝したルー・リードの曲を例に出すまでもありません。
間違いなく、"Shine on Brightly"は微妙なバランスの上に立った、60年代を代表するコンセプトアルバムの傑作(Best)と言えます。しかしそれがそのままセールスに繋がったわけではありません。但し実力の評価は成されました。


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