5. Broken Barricades 1971
ここで何より印象的なのは、ロビン・トロワーがジミヘンばりのギターを弾きまくりはじめたことである。このギタースタイルはソロ(の大傑作アルバム)で見事に開花する。これまでになくロビンが前面に出てくるアルバムである。ものすごくカッコ良いプロコル・ハルムが聴ける。
イアン・アンダーソン率いるジェスロ・タルの在籍するクリサイスに移っての第一弾アルバムでもある。ジェスロ・タルとプロコル・ハルム。彼らはイギリスが誇る実力派アーティストの双璧である。どちらも常にプロフレッシブな姿勢を崩さない。(寧ろプログレッシブグループと言われているものこそ自分のスタイルを模倣し形骸化する傾向がある。)
この新しい環境での新アルバムは、「ヘビー&ソリッド&タイト」と言ってよく、バンドのエネルギー溢れるものである。演奏テクニックにはさらに磨きがかかりスケールアップした感がする。バリー・J・ウイルソンのドラミングは相変わらず超絶技巧で素晴らしく、そこにロビン・トロワーのフェンダー・ストラト・キャスターが縦横無尽に絡む。ゲーリーの作る旋律ーサウンドはヘビーかつクラシカルで、実に他のメンバーの演奏に融合している。ゲリーのボーカルもこのサウンドには水を得た魚のように非常にマッチして活き活きしている。
痛快なプロコル・ハルムが存分に聴けるアルバム。
6. Live in Consert with Edmonton Symphony Orchestra 1972
ロビン・トロワー脱退。
マシュー・フィッシャーに続き、これまでのプロコル・ハルム、彼らの彼らならではのサウンドの要を担ってきたメンバーがまた抜け、ここでゲーリー・ブルッカー=キース・リードの真価が問われるところであることは、誰の目にも明らかであった。
その答えが、これである。
このアルバムから、ギターにデビット・ボール、ベースにはアラン・カートライトが加わる。
ベーシストはライブも考えるとメンバーの加入は必須であった。
ギタリストについては適当な人材確保は時間的にも難しかったようである。
本作は、カナダのエドモントン・シンフォニー・オーケストラとカメラ・シンガーズが全面的に演奏・合唱に加わったものである。ディープ・パープルを始めロックバンドとオーケストラの共演は何度かなされており、成功した例もあるが、この時点でこの作品ほど高いレベルでの共演はなかったはずだ。プロコルハルムのクラシカルな要素が強調され、ゲーリー・ブルッカーのコンポーザーとしての才能・能力の高さが再認識されたアルバムとも言えよう。
特に、"In Held Twas in I"は2ndアルバムの名曲というより彼らの代表曲の一つであるが、ここではさらにグレードアップした演奏を聴かせている。あくまでもバンドがコントロールして、オーケストラと合唱団をドラマチックな高揚にしっかり活かしきっている。ライブでのズレや荒さはなく、とても緻密でダイナミックな演奏が実現されている。(実は1度演奏をやり直したらしい)
このアルバムは間違いなく、これまでのプロコル・ハルムの集大成であり、申し分のないクライマックスで締めくくられる。
セールス的にも正当な評価を得て、成功した。
プロコル・ハルムは不滅である。
ただ、メンバー的な立て直しは課題として残った。
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