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2013年11月11日月曜日

Procol Harum プロコルハルム 4/10

3. A Salty Dog      1969
このアルバムは、マシュー・フィッシャーのプロデュースとなる。今作を最後に彼はグループを脱退する。ゲーリー・ブルッカーとの軋轢などが噂されるが真相ははっきりしない。その後、哀愁溢れるメロディーを奏でるハモンド・オルガンのたっぷりフューチャーされたソロアルバムとプロデューサーとしてロビン・トロワーの傑作ソロアルバムなど多く手がけていくことになる。
このアルバムでマシュー・フィッシャーは後のソロ活動に引き継がれる確固たる個性を持ったマシュー節の哀愁に鈍く染上げられた珠玉の名作を発表している。
ロビン・トロワーもギターテクニックだけでなくソングライティングの才能をはっきりと窺わせている。ボーカルはあまりに個性的であるが、多分好みのわかれるところである。
メンバー各自がおおらかに自分の才能を発揮する場となっており、各曲が明るく心地よいアルバムとなっている。面白いのは各メンバーが自分の担当楽器以外の楽器も演奏しており、リラックスし楽しんでレコーディングしている雰囲気が伝わってくるところだ。マシュー・フィッシャーのプロデューサー業の出発点であり、アーティストの意思を尊重し、開放的に才能を引き出す彼のスタイルが理解出来るものである。
このアルバムはジャケットとともに初期プロコルハルムを深くリスナーに印象づける傑作に数えられ、相変わらず「青い影」は付き纏うが、グループとしての認知度を確実に高めるものであった。ゲーリー・ブルッカーとキース・リードの中核コンビは言うまでもない高いレベルの仕事をしている。
このアルバムも個性的な楽曲が並ぶ割に"A Salty Dog"の雰囲気によくまとめられている明らかに成功作である。彼等の海賊のイメージはジャケットの絵の強烈な印象で、暫く続く。


4. Home      1970
コンスタントにアルバムを発表していく彼等であるが、ここにはもうマシューはいない。ベーシストも脱退しており、クリス・コッピングがオルガンとベースの両方を担当する。明らかに神々しいマシューの調べとは異なるオルガンではあるが、クリスのオルガンは今後のプロコルハルムになくてはならないサウンドの要となっていく。名曲をしっかり支える決して自己主張しすぎないタイトな調べを奏でていく。もちろん出るところでは腕を発揮する。
プロデューサーはクリス・トーマスを迎えている。プロコルハルムはたとえ誰がアルバム制作しようとブルッカー&リードがいれば不変のサウンドが保証されるものである。その点に何ら不安は介在しない。彼等は次元の違う天才コンポーザーコンビであるから。
基本コンセプトとしてこのアルバムはキースの詩が全体を見事にまとめていることは特筆に値する。「青い影」の頃のシュールレアリスティカルなものではなくはっきりと後の「グランド・ホテル」に磨かれ継承されていく世界観「生・死・老い・病、、、」が明確に描かれていく。

彼等の前身バンドであるパラマウンツのメンバーに戻ったことが分かる。それで"Home"というアルバムなのだと容易に想像がつく。しかしこれは明らかにプロコルハルム以外の何者でもない。
ある意味、スケールが拡がり骨太の力強いアルバムになっており、ヒット性の高い曲が多い。シンプルでストレートな印象が強いが、プロコルハルムの確固たる芸術性が中心にあり、単純なブルースだったり、カントリーだったりすることはない。どんな形式を借りようが、プロコルハルムは絶対であることを再認識させられたアルバムであり、彼等の辞書に駄作という言葉など無いと分かる、これもまた傑作アルバムであった。









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