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2013年8月14日水曜日

手軽にできるシュル・レアリスムの技法まとめ

1.ドリッピング

1)普通より多めに水を含ませた絵の具を筆に含ませる。
2)画用紙にポタッと垂らす。

3)そのまま次々にいろいろな色を紙面にたらしていく。たらし方を変えると(量・速度など)模様にも変化が生じる。

又は、これにストローを使う方法
3)表面張力で球状に紙面に張り付いている色の水滴を、ストローで吹き散らして枝分かれする模様を作る。
4)色を換えてくりかえしておこなう。色の交差により色が混ざり新しい色模様が伸びてゆく。


*ストローを使わずただ絵の具を滴らせるだけで制作をしたのは、ジャクソン・ポロックです。大きな紙(紙の上を歩いて制作できるくらいの)を使うとダイナミックな作品が作れます。
なお、お子様が制作する場合、ストローで息を吹くことが難しい場合があります。逆に吸ってしまうようでしたら、ポロック風に遊んでください。


2.デカルコマニ

1)画用紙に絵の具をチューブのまま塗りつけます。
2)何色も同様に適当な形で繰り返します。
3)画用紙を真ん中で内側に(絵の具が付いている側に)二つ折にすると、線対称の面白い形が生まれます。


又は、他の面(例えば硝子、板)に絵の具の面を押しつける方法
3)押しつけたところでそのまま離さず、少し面をずらすなどして転写します。

ちょっとロールシャッハテストみたいですね。お子様が制作するとしたら、紙を折ることでむちゃくちゃに塗りつけた色が、複雑ながら綺麗な対称形になっていることは、少なからず感動的な経験であり「対称」に対する認識を芽生えさせる契機になるかもしれません。
違う面、例えば硝子などに押しつけズラして模様を転写する方法は、マックス・エルンストの作品によく見られます。傑作がたくさん生まれています。


3.フロッタージュ

1)薄い紙(半紙や和紙)を凹凸のある(テクスチュア)の上に乗せる。
2)色鉛筆で紙の上から下のものの凹凸の形をを擦りとる。
3)一種類だけでなく様々なテクスチュアを写し取るとってゆく。


*お子様が始めるとしたら最初はお金が良いかもしれません。それによりこの技法のメカニズムが理解しやすくなるはずです。家中の表面(テクスチュア)の凹凸の面白いものを探して片っ端から紙をのせて擦ってください。外が安全なら、ビルの外壁やアスファルトの路面も面白いです。
これもマックス・エルンストの多用する技法のひとつです。
日本ではすでに江戸時代には子供がこの技法で遊んでいたそうです。
大きな紙を持って、世界中をフロッタージュして歩いている日本の芸術家もいます。


4.スパッタリング

1)絵の具を普段絵を描くより若干水多めに溶きます。
2)画用紙の台紙の上に型紙(ステンシルを幾つか手でちぎり置いていきます。(4、5枚ほど)
3)角網の上から絵の具をつけた歯ブラシを擦り、細やかな霧を紙面いっぱいに振り撒きます。
4)色を換えるごとに、型紙をズラしていきます。(型紙は少し重なりあっていても大丈夫です)
5)5回くらいやったところで、型紙すべてを撤去します。柔らかいシルエット状の絵柄が出来上がっています。
6)角網は色を換えるときだけでなく、霧の落ち具合が良くなくなった時には、洗って水気を拭き取りましょう。


又は型紙(ステンシル)を使わない方法
2)ただひたすら台紙に絵の具の霧を振り撒きます。柔らかい色調の色紙が出来ます。

*この技法においては、複数の型紙を台紙に乗せて、少しずつづらしながら制作することをお勧めします。非常に美しく柔らかな色面が出来、型紙の形により変化に富んだ模様になります。できれば最後まで絵の具の付かない面(真白い面)を残すと、他の色との関係でまるで光のような面が出来ます。是非お試し下さい。


5.マーブリング

1)バットに3分の1位の深さまで水を入れる。
2)水面に直径1㎝くらいの紙片を浮かべる(紙片は水に湿らせておく)。
3)紙片の上に絵の具(彩液)を垂らす。
4)素早く紙片は取り除き、水面に波紋状に拡がる模様を少し筆の柄等で動かし形を複雑にする。
5)この形で良い、というところで画用紙(和紙)を水面に水平に乗せて模様を写し取る。


*最近では西洋マーブリングも売り出されており、こちらは定着液を使うもので大変模様が濃く鮮やかに付きます。勿論、墨汁を使う文字通り、「墨流し」もあります。油絵の具とテレピン油(わたしは昔、こちらを習いました)で行うものもあります。今では画材道具を扱う店ではどこでも手に入る{彩液}を使う最も手軽に行えるものをご紹介しました。
水面に浮かべた紙片上にたらす事がまず肝要です。そうしないと絵の具自体の重みで水底に沈んでしまいますのでご注意ください。


6.ぼかし

1)予め画用紙の片面をすべて水で濡らしておきます。
2)画用紙の上に、水でサラサラに溶いた絵の具を垂らします。(マーブリングで使用した彩液を使うとさらに綺麗にできます

3)マリ藻のような形で拡がる模様を幾つも作ります。
4) 模様の重なり合いで、色が混ざりあうのもわざと作るとよいでしょう。


*これについては無意識的に行っていることが少なくないと思われます。想像画の背景などに使えることが多いです。




 どの技法にも、何かの形に似ているところが見出せます。それを元に、筆やペンで形を描き加えていくと大変素敵な絵が出来上がります。また、上記の技法同士を複数組み合わせると、さらに面白く重厚な作品が出来ます。シュル・レアリスムの絵画にも注意してみるとこれらの技法が使われて(組み合わせて使われて)いるところが見つかります。またこれらを素材(要素)として扱い、ひとつの画面に構成して作品にする「コラージュ」という方法もエルンストをはじめ多くの画家が使っています。

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