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2014年4月21日月曜日

消滅した時間(続) ~ 奈良原一高

ニューメキシコの「ドライブインシアター」。
広大な空き地に犬が一匹。
空間に対し小さすぎる、スクリーンがひとつ。
ヘッドフォンが目の前に。
「あなた」の声を聞いてみるか?

コロラドの「岩肌の見える窓ーローラースケート場」。
舞台の書割よりもぞんざいな窓のついた岩肌。描かれた段ボールか。
その前を古びた操り人形がローラースケートで通り過ぎようとポーズ。
人形は舞台に降ろされたばかり。
路面はツルツル。気をつけろ!

「トイレット」。
広大な荒地の中にポツンとあるトイレット。
そこを訪れる人。
目を疑うシチュエーション。
不在のコンテクスト。
炎天の中のブラックボックス。

ニューメキシコの「裸のベッド」。
ニューメキシコの名物、”月”を見るにはもってのほか!
マットレスなどなくても、クッションは生きている。
おまけに枕がある。これは謎だ。
周りは空き地。周囲は物語を語る木々。整いすぎている。
月はまだか?

カリフォルニアの「夜のモーテル」。
ポール・デルヴォーが泊まっている。
全く物音をたてない、骸骨と裸婦たちも一緒だ。
ここで絵を描いていたのか?
でも、モーテルには一人も泊まっていないかの如く。
光が柔らかく壁を滴り落ちている。

アリゾナの「インディアン・ロックバンド」。
広大極まりない荒野。
monumentalvalleyを原風景に立ち並ぶスピーカーにアンプ。
そして中央に鎮座するドラムセット。
インディアンと客だけが独りもいない。
最高の舞台。または、デジャヴ。

ワイオミの「長距離バス」。
真面目で勤勉な運転手がいまも長距離バスを運転する。
その距離はもう数千光年を超える。
しかし運転手はタフだ!
一睡もせず、理知的な横顔をまったく崩さない。
いまにも揺らぎ立ち消えそうな幻影となっても、、、。





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