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2014年4月23日水曜日
消滅した時間(続々) ~ 奈良原一高
ニューヨークの「遊技場」
バスケのボールを操る黒い手。
巧みなボールさばき。
どこから!?
誰がほおったのか、いまにも入りそうなボール。
空間の外を現在させる瞬間の凍結。
ニューヨークの「日曜日」
おう、初めての顔の見える人。しかも群像。
と思ったら、人形か?
しかし間違ってもマネキンではない。
かつては人間だった人形だ。
今から、200年ほど前は彼らは人と呼ばれていたはずだ。
カリフォルニアの「グラスと太陽」
夥しいグラスが蛍光灯でも白熱灯でもなく太陽の光に晒されている。
新しい白日夢の始まりだ。
いや、終わりか?
月が太陽に取って代わるまで何とも言えない。
ただ、その頃までには月夜のブランデーが注がれていることは確か。
アリゾナの「電線工事」
ひとりでトラックの上に立ち電線を繋ぐ人影。
時間は分からない。
温度も湿度も分からない。
天気も定かではない。
でも電線は常にまっすぐ引かれてないとまずい。
アリゾナの「ゴーストシティ」
もちろん誰もが胸躍るゴーストシティ!
この世で、ゴーストシティより人気のあるスポットなんてない。
とくにここは平板で薄く、フラットな光が全体を覆っている。
まるで光そのものが初めからないかのごとく。
だからドラマというものは一切起きない。
ニュージャージーの「引越し」
屋敷の軒先に置かれた家具は、持ち出されるのか、なかに納められるのか。
月のない暗い夜だ。
何も見えない。
作業は中断。しかし窓には動く人影が。
もうどれくらい経つ?
アリゾナの「霊柩馬車」
柩に入るべき老人が、向かいに立って眺めている。
霊界の窓-出入り口になっている霊柩馬車。
その柩は鏡より鮮明に見えてしまったものを見せている。
いや、もう老人は中に入っている。
向かい側などという外は初めからなかった。
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